狼
手負うたとはいえ誇り高き狼は
誰も知らない森陰で
そっと自分の傷を嘗めるのだ
狼は常に強いのだから
傷ついたことを知られてはならぬのだ
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けれどもどんなに隠したとて
月がすべてを知っている
狼は月のやさしさをこらえきれず
自らの身体を食いちぎったのだから