三原にて
船着場で
眩い逆光の中に見た
瀬戸内の柔らかい潮風に吹かれ
微かにふるえる赤茶色のほつれ髪に
一瞬ふっと口をつぐみ
海の向こうを眺めたまま
時の流れを止めたおまえの横顔に
今はすでに求めるすべもないはずの
紛れもない母の俤を見た
S47.04.09