都落ちをして間もない頃のことでした。 田舎のこととて夕方近くなると蝙蝠が飛び交っておりました。 その頃はまだ工場の構内は舗装してなくて砂利混じりの土の地面でした。 ある日、何の気なしに事務所の前で視線を落としたら蝙蝠の死骸らしきものが半分埋まっているのが目にとまりました。 ( ああ、かわいそうに。こんなところに死んでらあ ) 次の瞬間、顔からサーっと音をたてて血の気が引くのがわかりました。 なんとその蝙蝠に大きなくちばしがあり、歯が生えていたのです。 ( こ、これは翼竜の生き残りか! ひょっとしたら歴史に残る大発見だ! ) 興奮でふるえる手でおそるおそる拾い上げてみると、 それはゴムで出来たおもちゃでした。(-_-;) |