中学生の頃、数学が不得手だとは思っていませんでしたし特に解けない問題もありませんでした。 入試で数学に躓いたのは問題を解く順番を間違えただけだと思ってました。 高専の一年生になり数学の最初は式の展開ぐらいでしたので面倒なだけでしたが、因数分解になるともういけません。 力技ではどうにもならないのです。 数学にはセンスが必要だと初めて気がつき、ここにいたって−−俺は数学が苦手だったのだ−−と思い知らされました。 一学期で数Tを終わらそうとする豊原先生はずいぶん突っ走り、ついて行けない学生はずいぶん残業させられました。 センスのある奴は時間内に解いてさっさと帰るのですが、落ちこぼれ組は解けるまで返してもらえないのです。 いつも最後までいましたので夜の8時過ぎまで残っていたと思います。 ずっと後になって豊原先生と話する機会があったとき、 「まだ居残りさせてますか。」 と聞いて見ましたら 「あんなことはもう出来ん。あの頃はワシも若かった。 親から早く帰してくれと言う電話が掛かってきたのには参ってなぁ・・・」 とおっしゃられていました。 われわれ寮生は誰も心配してくれなかったのです。 先生も学生もがむしゃらな時代でした。 |