高専の入学試験はまだ校舎が出来ていないこともあり、泉ヶ丘高校の小汚い校舎を借りて行われました。 私は二度しか金沢に来たことがなく、過保護でしたのでおふくろがついてきました。 二日掛りでしたので確か県警横の婦人会館と言うところに止まりましたが、婦人会館に男が泊まってもいいものなのだろうか、と真剣に心配しておりました。 一緒に受験した中瀬はどこに泊まったものか試験会場には一人で来ていました。 入試問題はやたら量が多いだけであまり難しくはありませんでした。 最も自信のあった英語は英訳でただ一問間違った問題を今でも覚えています。 I was walking about in the garden.(私は庭を散歩していた) というくだりで「about」が副詞だったか前置詞だったか自信がなくなり、前置詞と判断して「in」を消してしまったのです。 これさえなければ満点だったな、試験終了とともにうぬぼれていました。 嘗めて掛かったのが災いし、簡単なものから取り掛かるのが常道の数学で、頭から真っ向勝負したところどこかで躓いてしまいました。 その問題を意地になって突破しようとして熱くなってしまい、時間がなくなりました。 これで多分受験は失敗したな、飯田高校へ行ってあらためて東工大でも目指そう、とあきらめていました。 受かったのは他の科目の点数がよっぽど良かったのでしょう。 中瀬は落ちましたが、もともと志望が泉ヶ丘で現場を見るのが目的だったそうで、その後ちゃんと泉ヶ丘に進学したそうです。 |