人形
.2007.067.01
娘のさやかは人形には興味を持たなかった。
三つか四つぐらいのときに、従姉にあたる弘美がもう要らないから、と等身大の人形をくれたことがある。
もらったときは喜んで抱いていたが、気がつくともう放り出していて見向きもしなかった。
あとをついて行くのが精一杯の仁詩と家中を走り回っていた。
それを見ていたおふくろいわく、
「ふん。。そんなもんより仁詩のほうがおもしろいに決まっとる。」
弘美は一人っ子だから人形と遊ぶしかなかったのだろう。