一番古い記憶はすぐ下の弟の洋介が生まれた日です。 3つと半年ぐらいの歳の差がありますから三歳の半ばのことです。 親父が小学校のとき同級生だったという西野の産婆さんがおふくろに添い寝しているのを足踏みミシンの上に座って見ていました。 産婆さんが空っぽの産着を見せて 「生まれたぞ。」 とミシンの上の私をからかっている情景をなぜか別の私が見ているところが目に浮かぶのです。 西野の産婆さんはもちろん私が生まれたときも取り上げたそうですが、私の長女が生まれたときもお世話になりました。 私も娘も棒はかりの先の鉤にぶら下がった古びた布切れのおなじ袋に入ったらしいです。 |