町民合唱団の練習のあと、渡辺先生の居間へ行ってお茶を頂いていたら奥さんが見合いの話を切出しました。 奥さんの実家の近くの、いつも行く美容院の美容師が独身でいい子だというのです。 よく聞くと姉と同じ歳だそうで、年下にしか興味のない私にとっては女性のうちに入りません。 あってみようとも思わない、と固辞したのですが、先生も奥さんも 「髪結いの亭主になって西条音楽院で声楽を習ってりゃいいじゃないか。」 なんてはなはだ都合のいい気楽なことを言います。 特に奥さんはどうしても引き下がらず、とうとう会わされることになってしまいました。 とある日曜日、私は白黒コロナに乗って約束の場所に行きました。 奥さんの顔を立てるだけのつもりでまったく興味がなかったのであとはよく覚えていません。 倉橋島に渡る螺旋橋を走ったことだけ覚えています。 その後、相手の美容師さん・・・確か奥さんは「たまちゃん」と呼んでいました・・・に一度西条の駅ですれ違ったらしいです。 会釈もしてくれなかった、としょんぼりしていたという話をあとで奥さんから聞きました。 それは気の毒なことをしたけど、顔を覚えていないんだからしょうがない。(-_-;) |